7月3日(土) シンポジウム 13:00〜14:30
障害者の地域生活を支援するためには、何といっても最前線に当たる地域資源を量的に確保しなければならない。しかし、わが国の今後の社会的ニーズは単なる量的拡大にとどまらず、サービスの質的向上に向けられることは明らかである。特に重複障害者の場合、その対応には単一の障害と比較してより多様で、かつ専門的な技術や知識が必要とされる。そうした専門的な技術や知識が不充分な場合、たとえ地域資源が量的に確保されたとしても重複障害者のもつニーズに適切に対応できず、期待される役割を担えなくなる可能性が高い。
関係する地域資源に対して専門的な技術や知識を提供していくのは、一般的には、リハビリテーションの専門機関や一定の経験を蓄積した施設の役割である。しかし、重複障害については縦割り制度の狭間にあって、こうした専門機関や施設においても充分な専門性の構築が極めて不足している。したがって、重複障害者の地域生活を適切に支援するためには、重複障害に特化した専門性の構築と、それをもって地域の社会資源をバックアップしていくシステムの整備が不可欠である。
本シンポジウムでは、各分科会における討論を通して、現状で専門機関や施設が重複障害に対してどのような専門性をもちえているのか。また、そうした専門性が地域生活を支援するために果たして有効性があるかなど、各コーディネーターから報告をいただく。その後、そうした現状を踏まえ、重複障害者の地域生活を支援するために何が必要な課題となっているのかを討論し、われわれリハビリテーション関係者が重複した障害に適切に対応できる専門性と、その提供システムをどのように構築していくのかについて、共通項を見出して提言したい。
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