第32回総合リハビリテーション研究大会
〜リハビリテーションのいま・そして・交流〜
◎特別講演 「リハビリテーションの発展と革新 ヨーロッパの展望」
ドナル・マカナニー (欧州リハビリテーション協会(EPR) 上級顧問/
ユニバーシティ・カレッジ・ダブリン障害学センター研究員)
●この講演について
8月29日に行われるドナル・マカナニー氏による特別講演「リハビリテーションの発展と革新 ヨーロッパの展望」のレジュメが送られてきました。
それによれば、RIヨーロッパでは、リハビリテーションの次の「5つの原則」を合意しているそうです。最初にその話がされるそうです。
(1) リハビリテーションはすべての市民の権利である。
(2) リハビリテーションは地域や職場で活用できなければならない。
(3) リハビリテーションは、利用者のエンパワメントと権利擁護を目的とすべきである。
(4) リハビリテーションサービスは、人と生活環境の両方をみるホリスティックな見方に基づいて行われるべきである。
(5) リハビリテーションサービスおよびリハビリテーション専門職は、絶えず水準を向上させ続けていく使命がある。
また、これに引き続いて、国連・障害者権利条約に関するヨーロッパ各国の動向や、国際生活機能分類(ICF)のリハビリテーションサービスへの活用について述べられます。
さらに、現在、6か国が共同で進めている、リハビリテーションの過程と成果を比較する評価プロジェクトについて述べられるとのことです。これは、プログラム理論、論理モデリングの手法を用いて、すべての参加国が共通の基準でリハビリテーションを評価することを可能にするものだそうです。
我々が知りたいヨーロッパのリハビリテーションに関することがかなり盛り込まれているように思います。
(寺島)
講演要旨
この講演では、最初に、「RIヨーロッパによるランドマーク研究:21世紀のリハビリテーション」で確認され合意された5つの原則について、ヨーロッパのリハビリテーション分野における現状を報告する。
この原則では、リハビリテーションはすべての市民の権利であり、地域や職場で活用でき、利用者のエンパワメントと権利擁護を目的とすべきであることを提案している。また、リハビリテーションサービスは、人と生活環境の両方をみるホリスティックな見方に基づいて行われるべきであり、そのサービスおよび専門職は、絶えず水準が向上し続けていく使命があることが述べられている。
このような背景を話した後、国連・障害者権利条約のヨーロッパ各国の動向や、国際生活機能分類(ICF)のリハビリテーションサービスへの活用について述べる。例えば、ICFの基本セットの開発、「身体機能」・「活動」・「参加」の自己評価、リハビリテーションサービスにおける質的基準の導入などである。
また、現在、6か国が共同で進めている、リハビリテーションサービスの包括的な比較検討作業の成果についても述べる。この作業では、プログラム理論、論理モデリングの手法を用いて、すべての参加国が共通の基準を用いてリハビリテーションの過程と成果が比較される。
また、これに関連して、リハビリテーションの成果として、エンパワメントと生活の質を評価するための3つの新しいツールの内容と実施の状況について述べる。
最後に、ヨーロッパ18か国において過去5年間にわたって行われた、障害と雇用の問題に関する5つの国際研究プロジェクトから得られた知見について概括する。